■『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』におけるフィールドレベルデザイン ~ハイラルの大地ができるまで~
[CEDEC 2017]「ゼルダの伝説BotW」の完璧なゲーム世界は,任天堂の開発スタイルが変わったからこそ生まれた
内容まとめ
・人の交通量を視覚的に表すヒートマップを作成し、いい感じに人がばらけるようなマップ作りを目指した
・ある程度プレイヤーの誘導はしたいが、強制はさせたくないため、引力を活用した
・塔などの魅力的なオブジェクトは引力が強く、多くのプレイヤーがそれを目指して同じ道を通ってしまった
・中程度の引力のモノ(馬宿や祠、敵の基地、狼煙など)をまんべんなく配置し、導線をばらけさせた
・料理に用いるキノコや、敵の基地にある武器など、すべてが導線のもとになる引力となっている
・地形を活かして、歩いていると塔や馬宿がゆっくりと見えるような演出を行った
・このような地形をまんべんなく配置し、どのルートを通ってもこのような演出を見ることができるようにした
・フィールドの設計のために京都市内をイメージし、現実の距離感を参考にした
・祠の密度も、コンビニの分布率などの現実世界の数値を参考にして作った
・広大なフィールドを大人数で管理・編集するのは大変なので、ゲーム内にタスクを貼り付けられるツールを開発
■『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のプロジェクト運営 ~試作から製品までシームレスに!~
IGN JAPAN 「データに紐づくタスク管理ツールで骨組みから作るオープンワールド「ゼルダの伝説BotW」のプロジェクト運営」
内容まとめ
・従来のステージクリア型のゲームと異なり、1つのマップに全ての面白さが集約されるため作り方を変えた
・開発段階を、1周目、2周目、3周目の3つに分けて紹介
・1周目は試作に当たる骨組みを作った。プリミティブな素材で大体のマップを作成し、面白さを確認
・本編マップとは関係ない所で、デザインや物理の検証も同時進行で行った
・2周目は製品版に近いレベルの素材を量産した。素材の量が多いので自作ツールを活用した
・タスクと素材データを関連付けることで、タスクの曖昧さを無くし、スケジュール管理も自動化できた
・3周目は主にデバッグ。バグの再現はスクリプトで簡単に行えるため効率が上がった
■『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』 ~広大で生き生きとした世界を奏でるオープンエアーサウンド~
【CEDEC2017】「ゼルダの伝説」で、自由度の高い「オープンエアー」の表現を支えるサウンド
内容まとめ
・オープンエアーでは、空気感などの目に見えないモノを環境音で表現することが重要
・環境音は、ベースノイズのほか、川や滝などの水音、風の音など、種類に分けて作成された
・鳥や草むらの虫の音源の場所など、細かい部分まで工夫を行った
・ベースノイズは、かすかに聞こえる空気の音で、気候などのロケーションによって異なっている
・虫の音は雨や雷の時にはほぼ鳴らなくなるようにしている
・今作では環境音メインなのでフィールドでループ曲は鳴らさない
・しかし、まったく鳴らさないと単調になるので、環境になじむBGMを作成した
・環境BGMはフレーズに分けてある程度ランダムに再生している
・街や村ではスポットBGMとして曲を流している
・作業効率化のため、音源の自動生成など機械の力を用いている
~感想~
オープンワールドのため開発が大規模化しましたが、それに合わせて開発序盤からかなり便利なツール「ゼルダエディタ」を用いていたことが印象的でした。
ゼルダのゲーム内で仕事の発注を行っている部分とか、ゲームと現実が混在していてこれはこれで斬新ですね。
任天堂としてはオープンワールドの開発は初めてのようですが、ここまで大成功を収めているので是非次回作や他のシリーズでもオープンワールドのゲームを作ってほしいです!
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